「写真家とプロラボは二人三脚」
(相原 正明氏)

2006年 ドイツ・ケルン フォトキナ富士フイルムブース。
僕は自分の作品を目の前にして金縛りにあったように動けなかった。と、同時になぜか、両目から液体が頬を伝わっていくのを止めることが出来なかった。

目の前には4メートルを超える、オーストラリアの風景をパノラマ縦長の掛け軸風にした自分の作品が存在している。日本でテストプリントをした時(テストプリントですら2メートル越えだった)、僕は何も言葉が出ないというか、グウの音も出なかった。

横から、クリエイトのプリンターのI氏が「ファインダーで覗いていた時、こんな風に見えていたんでしょ?」と声をかけてきた。
作品は霧の中にそびえるタスマニアの原生林の作品。当然だが、I氏は撮影には同行していない。当時僕は、FUJIFILM TX-1というフィルムパノラマカメラで作品を撮っていた。I氏とははじめてお仕事をさせていただいた。彼は僕のそれまでの作品を細かく研究したらしい。
僕の撮影の時の癖、好み、傾向すべてお見通しだ。だから、撮影に同行していないのに、ファインダーの中に見え感じた世界を再現してくれた。まさに匠というよりも神業。

そしてケルンに来た時、その神業のプリントは、世界最大の映像コンベンション フォトキナの富士フイルムブースで、オーラを放っていた。写真を撮るとき、フォトグラファーはいつも独りだ。
だが作品を作りあげる時、フォトグラファーは独りではなく、多くのスタッフとともにある。一人ではなし得ない。自分のここの映像を解ってくれるクルーがいないと、世界に向けて発信する作品は完成しない。
そして、クリエイトには、作品を共に創り世界に向けて発信できる、神業を持った匠たちがいる。僕が世界に向けて作品を出すとき、僕の周りにはいつもクリエイトのスタッフがいる。

プロフィール

相原 正明(あいはら まさあき)
1958年 東京都出身 日本大学法学部新聞学科卒
学生時代より、ドキュメンタリー、スポーツ、鉄道の写真家を目指すが1988年のバイクでのオーストラリア縦断撮影ツーリング以来かの地でランドスケープフォトの虜になり、以後オーストラリアを中心に「地球のポートレイト」をコンセプトに撮影。2004年オーストラリア最大の写真ギャラリー・ウィルダネスギャラリーで日本人として初の個展開催。
以後写真展はアメリカ、韓国、そしてドイツ・フォトキナでは富士フイルムメインステージで個展を開催。また2008年には世界のトップ写真家17人を集めたアドビアドベンチャー・タスマニアに日本・オーストラリア代表として参加。現在写真家であるとともにフレンドオブタスマニア(タスマニア州観光親善大使)の称号を持つ。パブリックコレクションとして、オーストラリア大使館東京&ソウル、デンマーク王室に作品収蔵されている。また2014年からは三代目桂花團治師匠の襲名を中心に落語の世界の撮影を始める。

写真展 多数 写真集 「ちいさないのち」小学館刊 「誰も言わなかったランドスケープフォトの極意」玄光社刊 「しずくの国」エシェルアン 刊
HP:http://masaakiaihara.com/
Blog:http://aiharap.exblog.jp/

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