写真家の声 #27
「作品に命を吹き込む、銀塩プリントの力。銀座・札幌での個展を終えて」
高橋 明里氏
・2025年、二つの場所で交差した光
私にとって2025年は、写真家としての人生の中でも、決して忘れることのできない濃密な一年となりました。6月には東京の中心地である「富士フォトギャラリー銀座」で、そして12月には北の大地の拠点である「富士フイルムフォトサロン 札幌」で個展を開催させていただきました。
銀座での個展は、まさに「勝負の場」でした。私自身初めての個展だったので、自分の視点がどう受け止められるのか?期待と緊張が入り混じる中での幕開けでしたが、都会の洗練された光の中で作品を展示したことで、私自身の表現の核がより研ぎ澄まされたと感じています。
一方、冬の札幌での個展は、私にとってある種の原点回帰に近い意味を持っていました。
12月の北海道は厳しい寒さに包まれますが、その静謐な空気の中で見る写真は、銀座での展示とはまた違った情緒を纏います。
雪に覆われた街で、私の作品が放つ「光」を見るために足を運んでくださる方々の存在が、何よりも温かく、写真を通じて繋がることの尊さを再認識した時間でした。
・スマホの画面では届かない、プリントの「実体」
今回の二つの個展を支えてくれたのは、間違いなくクリエイトさんのプリントでした。
クリエイトさんで仕上がった作品を初めて手にしたとき、一番に感じたのは「光の深みが、画面で見ていたものとは全く違う」ということでした。
今の時代、写真はスマートフォンやパソコンの画面で見るのが当たり前になっています。確かに液晶画面に映る写真は鮮やかで手軽ですが、それはあくまでバックライトによる一時的な明るさに過ぎません。電源を切れば消えてしまう、どこか実体のない光なのです。でも、クリエイトさんの銀塩プリントは違いました。
「紙」そのものが光を優しく受け止め、私が撮影した瞬間に感じた空気感、その場の気配までをもぎゅっと閉じ込めているような圧倒的な実体感があるのです。
特に光が一番強く当たっている「ハイライト」の滑らかさには驚きました。白飛びしそうな絶妙な階調が、紙の上では溶けるように美しく表現されています。また、暗い部分の繊細な重なりも、デジタル画面では決して味わえない領域です。
黒の中にも確かに質感が存在し、見ていると吸い込まれそうになる奥行きがありました。
自分の写真が、単なる「データ」から、ずっと大切に抱えていたい「作品」へと変わった瞬間。その感動は、画面越しでは絶対に得られないものでした。
・立ち止まる人々の姿に教わったこと
銀座と札幌、どちらの会場でも、多くの方から「感動しました」「ずっと眺めていられる」というお言葉をいただきました。
何よりも嬉しかったのは、来場された方々が、一枚の作品の前で足を止めて、じっと長い時間見入ってくださる姿を何度も目にしたことです。
今の世の中、情報は一瞬で指先で弾かれ、次から次へと消費されていきます。そんなスピードの速い時代だからこそ、物理的な重みを持ち、そこに凛として存在するプリントの価値は、これまで以上に高まっているのだと確信しました。
「この写真の奥には何があるんだろう」「この光はどこから来ているんだろう」
そうやって想像力をかき立てる力は、丁寧な手仕事で仕上げられたプリントにしか宿りません。見る人の視線を釘付けにし、心を動かす圧倒的な「説得力」。それを教えてくれたのは、展示会場で作品を見つめてくれた皆さんの眼差しでした。
・クリエイトさんへの心からの感謝
2025年の個展は、私一人で作り上げたものではありません。
最高のかたちでプリントしてくださったクリエイトさんに、心から感謝しています。
・次の光を探す旅へ
一瞬の光を捉え、それを永遠の形として紙に定着させる。プリントには魔法のような力があると信じています。2025年に銀座と札幌で得た経験は、これからの私の写真家人生において、大きな大きな糧となるはずです。
これからも、誰かの心にそっと触れるような光を追い求め、それを最高の一枚として届けていきたい。この一年の感謝を胸に、また次の光を探す旅を続けていこうと思います。
本当にありがとうございました。




高橋明里(たかはしあかり)
秋田県在住の風景写真家。
2018年からカメラを始め、「光とともにある自然の記憶」をテーマに秋田県の自然風景を撮影している。
2025年6月 富士フォトギャラリー銀座で個展「光彩」開催
2025年12月 富士フイルムフォトサロン札幌で個展「光彩~秋田という名の光の記憶~」開催
写真教室、撮影ツアー講師としても活動している。
Instagram :
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