写真家の声 #29

「SNS時代だからこそプリントをする -富士フォトギャラリー銀座を選んだ理由- 」

坪井 智洋氏

今回、富士フイルム「プロラボ クリエイト」でプリントした作品と、動画を組み合わせた展示「歩き、歩む、」を富士フォトギャラリー銀座にて開催しました。普段は美瑛で農業を営みながら撮影を続けていますが、自分の中に積み重ねてきた時間や風景を、一つの形として伝えられる大変貴重な機会となりました。

実際に展示をして強く感じたのは、SNSでの発信とは異なり、プリントされた作品の前に立った来場者が、距離や時間をかけて向き合ってくれる。その中で、同じ写真でも人それぞれに異なる解釈や感情が生まれ、言葉を交わすことで新たな気づきが何度もありました。また、動画を組み合わせることで、写真だけでは伝えきれない空気感や時間の流れを補完でき、より立体的に世界観を届けられたと感じています。展示空間そのものが一つの作品として成立していく過程は、とても特別なものだと実感しました。

また、データで見る写真とは異なり、紙に定着させることで質感や奥行き、光の階調がより繊細に表現されます。今回、クリエイトでのプリントは発色や黒の締まりが非常に美しく、自分が現場で感じた空気に近い状態で再現できたことが印象的でした。

会場として富士フォトギャラリー銀座を選んだ理由は、作品と真摯に向き合える環境が整っている点に魅力を感じたからです。アクセスの良さに加え、写真を見るための空間としての完成度が高く、来場者の方々が落ち着いて作品に没入できる環境がありました。実際に多くの方に足を運んでいただき、作品だけでなく背景にある農業や土地の話まで深く共有できたことは、自分にとってとても充実した時間となりました。

展示は準備も含めて決して楽なものではないかもしれません。SNS時代、1枚の写真を1秒でスクロールされてしまう今の時代だからこそ、プリントをして来場者の方に一枚一枚じっくりと見てもらいながら会話ができる環境は大変貴重です。写真を撮るだけで終わらせず、形にして誰かに届ける。その喜びと手応えを、写真を撮っている多くの方々にも感じていただきたいです。

写真家の作品
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写真家の作品
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PROFILE

写真家の顔写真

坪井智洋(つぼい ともひろ)

岡山県出身
仕事の転勤をきっかけに北海道での暮らしを始める。
2022年美瑛町の美しさに惹かれ、仕事を辞めて移住。
2023年より新規就農を目指して農家で修行中。
2021年日本で最も美しい村動画コンテストグランプリ
2024年日本の自然フォトコンテスト プリント部門優秀賞

HP: https://dondonchan.base.shop/
Instagram: https://www.instagram.com/dondondondondondonchan/