富士フイルムによるプロラボサービス「クリエイト」
クリエイトが、日本のデジタル銀塩プリント制作ラボの草分けであることは言うまでもない。
20年ほど前、私はデジタル銀塩プリントの制作を始めるにあたって、高度な技術をもったプリント・ラボとして、最終的に出会ったのがクリエイトだった。
デジタル銀塩プリントの草創期にあって、群を抜いた技術の高さと写真家の要望への対応の柔軟性は、他のラボよりもはっきりと抜きん出ていた。
爾後、私はすべてのデジタル銀塩プリントの制作をクリエイトにお願いしてきた。
デジタル銀塩プリントはインクジェットとは違って、あくまでTypeCプリントである。
つまり入力はデジタルデータでも、出力方式は印画紙現像なのだ。
インクジェットプリントのように染料や顔料を紙の上に吹き付けるのではなく、印画紙に塗られたエマルジョン(乳剤)が現像液と化学変化を起こして発色する!のである。
銀塩写真を制作した経験のある人にはよくわかっていることだが、エマルジョンの状態、現像液の状態、現像の温度や時間など、さまざまな要因によって微妙に味わいが出てくる。
プリントが仕上がってくるまでの期待や緊張感は、たとえば陶芸家が窯出しするときの興奮に近いのかもしれない。
デジタル銀塩プリントにおいては、人工と自然の共同作業によって傑作プリントが生み出される。
デジタル銀塩プリントは、本来の意味で“photography”なのである。